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越智順子さんの思い出

越智さんがお亡くなりになったと聞いて、私のショックは実は大きかった。喪失感がものすごい事に自身も驚いている。

歌を聴き、尊敬し、関わり、そして未来への希望を持っていただけに、この現実は悲しかった。だから、もっと関わりの深い諸先輩の身に今後何かあった時、私はどうなるんだろう?とも考えさせられたほどだ。

初めて聴きに行ったのが吉祥寺「Sometime」だった気がする。
ピアノは、ユキアリマサ氏だった気がする。(笑)
ギターには、人気急上昇中だったイケメン、小沼ようすけ氏(笑)だった。これはよく覚えてる。それは、越智さんの真骨頂その1である、ロバータ・フラックの「Feel like making love」で、エンディングをこれでもかっ!ってくらいやるんだけど、小沼さんとの掛け合いになって、あるフレーズがピンと来なかったらしく「ちゃう。ちゃう。」とか言いながら掛け合うんですよ。ほんとすごかったし、猛烈に楽しかった。力があるってこういう事やな、、、とその醍醐味を感じたものです。

Sometimeは奥の席へ行くのにボーカルの目の前を通らなくてはならず、入ってくるお客様に「いらっしゃいませ、ここから500円追加です」とかね。ほんとユニークなMCが満載でした。

連日で聴きに行ったのが、今は無き恵比寿の「サンマリノ」。ピアノバーだった時代で、ピアノはユキアリマサ氏。私はユキ氏とのバランスが最強だと思っている。今夜はDuo。どんな事をしてくれるのか?と楽しみだった。越智さんの真骨頂その2「Lover come back to me」を歌おうとイントロが始まった時、ジャズ好きが集まっていたせいかリズムと取り始めた、いきなり「ちょっと待って。待って」とユキ氏のイントロを止めたのだ。「皆で「はい、ここ」って分ったやろ?あかん。あかん」って仕切り直させたの。これが実に面白かった。ミュージシャンとしてのいい意味でのプライドに火がついた。(笑)って感じ。勿論、エネルギッシュだった。

あれは、青山「Body & Soul」だったと思う。
今夜初めて歌うんですと言って歌った曲「Flamingo」。
それまで私は知らない曲で、越智さんのイメージとは違う曲で、何となく逆に印象的だった。難しい曲だな、、、とも思った。しかし、ゆったりとした曲調に、歌いこなした姿が強烈に印象として残ってる。この方の潜在能力はどんだけのものなのか?とも思い、シンガーとして感銘を受けたのだ。

あれから、、、月日が経ち、もう二度と聴く事が出来ない。

いつも歌う事に懸命で額から汗が流れるほどのエネルギーを使い、MCにもお客様にも音楽にもその時間満載の神経と情熱を注ぎ、その集中力たるや素晴らしかった。

カーメン・マクレイの歌い方が好きでなかったと暴露し、なんとも鼻にかけた声や歌い方にそう思ったと、真似て笑いと取っていたっけ。私もカーメンの違和感を感じてた部分はそこだったのだ、と越智さんのMCで気付いたりもした。

SummertimeのMCでは、歌詞の意味合いを情緒たっぷりに、そして対照的なエネルギッシュな歌いっぷりに酔いしれた。

・・・・・

私の中で、いっぱいいっぱい彼女の思い出がある。
そしてミュージシャンとしていっぱいいっぱい勉強させてもらった。
余りにも惜しい人を亡くしたと思います。
彼女にしかなかった音楽がそこにはあった。
もう聴けないのかと思うと私は涙が止まらない。

奇しくも、彼女の命日は、私にとって生涯忘れ得ぬ特別な日。
その思いに耽るとき、越智さんの事も生涯思い出し想うんだろうと思う。

心より哀悼を申し上げます。

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